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北九州ヒストリー
北九州における環境政策の歴史
産業の興隆と公害の発生、その克服の時代
1960年代
公害の顕在化
北九州地域は、1901年の官営八幡製鐵所の創業以来、日本の四大工業地帯の一つとして発展していきました。1990年代、産業の隆興に伴い、日本は急激な経済成長を遂げました。しかし、「経済の成長」と「産業の興隆」は、同時にそれまで経験したことのない公害問題をもたらし、深刻な被害が発生しました。
- 重化学工業の発展とともに公害問題深刻化(ばい煙・工場排水による汚染)
- 北九州市で日本最初のスモッグ警報発令
- 洞海湾水質基準本調査で、溶存酸素量0.6mg1、COD48.4mg/、シアン、ヒ素等の有害物質が高濃度に含まれていることが判明以後「死の海」洞海湾と呼ばれる
パートナーシップによる都市再生
北九州市は、深刻な公害を克服すべく、他の自治体に先立って公害対策を実施しました。
立ち上がった市民
公害問題に対して最初に声を上げたのは、子どもの健康を心配した母親たちの市民運動でした。「青空が欲しい」というスローガンを掲げ、自発的に大気汚染の状況を調査し、その結果をもとに企業や行政に改善を求める積極的な運動を起こしました。
企業の取り組み
企業は、生産工程の改善、汚染物質の除去処理施設の設置、工場緑化などの対策を積極的に行いました。これらの対策を進めるうえで、排水処理・排ガス処理などの排出口での対策技術だけでなく、製造施設や工程の改善、省資源・省エネルギーを徹底することで環境への負荷を小さくする技術(低公害型生産技術=クリーナープロダクション技術)が導入されました。この技術は、環境改善だけでなく生産性を向上させる経済的効果をもたらしました。
行政の取り組み
北九州市の行政は、市民の声を受け、迅速な対応を実施しました。その一つに、公害対策組織の整備があります。公害の状況を常時監視するための公害監視センターを設置するとともに、公害について科学的に研究するための組織を整備しました。同時に、公害防止対策を進めるために必要な財政措置や規制制度の整備、法の限界を補完するための企業との「公害防止協定」の締結、下水道や緑地の整備、廃棄物焼却工場や処分場の整備、被害者の救済など次々と画期的な環境対策を実施しました。さらに、洞海湾では、水銀などの有害物質を含むヘドロの大規模な浚渫を行いました。
公害対策の成果
市民、企業、研究機関と行政が一体となって公害対策に取り組んだ結果、北九州市の環境は大きく改善されました。
よみがえった海と空
国際協力の時代
1980年
(財)北九州国際研修協会(KITA)設立
北九州市がこれまで培った技術や経験を途上国に移転することを目的に、地元経済団体が中心となって1980年にKITAが設立されました。以来、環境保全や工業技術の分野で、200を超える地元企業や行政機関のバックアップにより、研修員受入や専門家派遣などを通じた国際技術協力を実施しています。
※2012年4月に公益財団法人北九州国際技術協力協会へ移行
- 海外からの研修員受入:165ヶ国 9,754名(2020年3月31日現在)
- 海外への専門家派遣:25ヶ国 211名(2020年3月31日現在)
1990年
国連環境計画からグローバル500受賞
1992年
リオ・サミットで国連地方自治体表彰を受賞
循環型社会の時代
1997年
北九州エコタウンプラン承認
1990年代に入ると、工業団地として整備した響灘地区の約2,000haの遊休地の開発の検討が始まり、港湾機能や管理型処分場、公害克服の経験と資源循環型産業の技術等の蓄積を活かした「北九州エコタウンプラン」を策定し、国による承認を受けました。以来、資源循環型社会の構築を目指し、「産業振興」と「環境保全」を統合した独自の地域施策として、「北九州エコタウン事業」を推進しています。
2000年
国連SCAP環境大臣会議で
「クリーンな環境のための北九州イニシアティブ」を採択
2002年
ヨハネスブルグ・サミット公式文書(実施計画)に
「北九州イニシアティブ」を明記
サステナビリティ・低炭素社会の時代
2004年
世界の環境都市・グランドデザイン
(人と地球、そして未来の世代への北九州市民の約束)を策定
持続可能な社会の形成に取り組む。
2006年
日中友好環境保全センターと環境協力に関する覚書を締結
2008年
国より「環境モデル都市」に選定
2009年
環境モデル都市行動計画(北九州グリーンフロンティア)策定
2010年
アジア低炭素化センター開設
2011年
OECDよりグリーン成長都市にアジアで初めて選定
国より「環境未来都市」に選定
2011年12月には、国において、福岡県、北九州市、福岡市が三者共同で国に申請していた「グリーンアジア国際戦略総合特区」が「総合特別区域法」に基づく「国際戦略総合特別区域」に指定されました。
また同日、環境未来都市の選定結果が公表され、北九州市が提案した「北九州市環境未来都市」が選定されました。
2012年
スラバヤ市(インドネシア)と環境姉妹都市提携に関する覚書を締結
2013年
「第15回日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM15)」を本市で開催
2014年
北九州市日中大気環境改善推進会議を設置し、
日中大気環境改善都市間連携協力を推進
ハイフォン市(ベトナム)と姉妹都市協定を締結
2016年
プノンペン都(カンボジア)と姉妹都市協定を締結
「G7北九州エネルギー大臣会合」を本市で開催
2017年
ダバオ市(フィリピン)と環境姉妹都市提携に関する覚書を締結
2018年
OECDより「SDGs推進に向けた世界のモデル都市」として
アジアで初めて選定
国より「SDGs未来都市」に選定
2023年
アジアカーボンニュートラルセンターへ名称変更
地域資源(優れた技術の集積)
公害対策の必要性(高度成長期)
省資源・省エネルギーの追求(2度のオイルショック)
高い生産効率、低い環境負荷
市内企業における低公害型生産技術の発展
(省資源・省エネ技術、クリーナープロダクションなど)
低炭素化に資する技術の集積
市内大学・研究機関の支援
低炭素社会づくりに向けて
革新的技術の研究開発
(省資源・省エネ技術、クリーナープロダクションなど)