- トップ
- 一般の皆さま
- 海外展開企業紹介
- 株式会社ジェー・フィルズ
海外展開企業紹介
株式会社ジェー・フィルズ
どんな会社ですか?
お話を伺った株式会社ジェー・フィルズの 谷 光平さん
当社は平成12年12月12日に創業いたしました。当初は事務・経理を主体とする会社でしたが、平成20年(2008年)に「株式会社 ジェー・フィルズ」へと社名を変更し、環境事業へと大きく舵を切りました。現在は北九州の本社と遠賀営業所の国内2拠点に加え、ベトナムのハノイにも営業拠点を構えています。主な事業としては、機械機器の設計・製作をはじめ、特許商品である水門開閉電動化システム「楽昇Ⅱ」やその遠隔化モデル「楽昇S」の国内展開、さらに酵素を活用した高濃度有機系産業排水処理事業を国内外で展開しています。当社の強みは、特殊機器を設計し製品化できる高い技術力にあります。常に「世の中にないものを具現化する」という姿勢を大切に、お客様の課題を解決する独創的な自社ブランド製品を提供しています。
海外展開を目指す商品は何ですか?
主力製品は、酵素を活用した高濃度有機系産業排水処理装置「CMシステム」です。その開発の原点は、弊社が排水処理設備の下請けをしていた時代にまで遡ります。主流である活性汚泥法は、処理の過程で大量の汚泥が発生し、その廃棄(海洋投棄や焼却)が大きな環境負荷となっていました。そうした中で出会ったのが、酵素を活用して汚泥と悪臭を大幅に削減する技術です。「汚泥と悪臭を出さない技術こそが次世代のスタンダードになる」と確信し、開発に着手しました。
完成したCMシステムは、高濃度の有機系産業排水に最も効果を発揮します。最大の特徴は酵素の加水分解による細胞膜の破壊で水と二酸化炭素にまで変化させる点にあります。多くの微生物を必要とせず死滅微生物も分解し、従来の活性汚泥法で課題であった汚泥(主に微生物の死骸)、悪臭の発生量を50〜90%削減に成功しました。また酵素を回収し循環再利用することで微生物の管理を容易にし、環境変化にも強い安定した処理が可能な画期的なシステムとなりました。高度な管理技術を必要としないため、途上国での導入に向いていると考えています。加えて、日本でも深刻な管理者不足を見据え、各国の拠点から遠隔管理・監視を行い企業の負担を減らす酵素処理ならではのシステム開発も進めています。
水揚げされた魚介類が放置されて
悪臭を放つゴックハイ漁港
(CMシステム導入前)
ゴックハイ漁港の装置稼働から半年後の処理状況
(左から原水、曝気槽、担体槽、処理水)
処理状況は極めて良いことを確認
これまでどのような国際協力・海外ビジネス展開を行ってきましたか?
国内で数十件の実績を積み上げてきたCMシステムですが、当時の国内市場では酵素処理への理解や評価がまだ十分ではありませんでした。転機となったのは、(公財)北九州国際技術協力協会(KITA)から届いた、海外展開への関心度を問う一通のアンケートでした。これを機に「海外で成功させ、日本へ逆輸入する」という目標を掲げ、2016年にJICA案件化調査に採択。ハイフォン市のナムハイ市場でのテスト設置を経て、その高い技術力が副市長に認められ、2018年には同市からの強力な推薦を受けてJICA普及実証事業の採択に至りました。
実証の舞台は、ハイフォン市の国際貿易拠点であるゴックハイ漁港です。当時は汚水・廃棄物による汚染が深刻で、輸出先のEUから改善を求められる死活問題に直面していました。設備の構築にあたっては、設計全般をジェー・フィルズが行い、施工は現地の入札による現地調達を貫きました。資材の品質管理には苦労もありましたが、外務局、農場農村開発局担当者や漁港の関係者また現地企業と密に協議し協力しあうことで強固な協力基盤と信頼関係を構築できました。
当初の漁港は、着ていた服や靴をすべて捨てなければならないほどの劣悪な環境で、本事業の理解を得るのにも苦労しました。性能を立証するため、ホーチミンとハノイの環境関連大学2校と共同実証試験などを行い、その結果を元に粘り強く説明を続け理解を得ました。設置場所は隣接する海を埋め立てるところからのスタートとなります。またコロナ禍による2年の計画遅延も、現地チームとのリモート連携によって克服。現在はハノイに拠点を設け、日本からの遠隔教育で自律的に作業をこなせるまで成長した現地社員が、重要な戦力として活躍しています。現在、漁港の海洋汚染と悪臭は劇的に解消され、管理者から「家族に臭いと言われなくなった」と感謝されたこと、漁港関係者や利用者の環境意識にも前向きな変化が生まれたことなど、本事業は会社だけではなく自身にも大きなやりがいとなっています。
コロナで渡航できない期間、日本からのリモート指示で
完成近くまで進めている工事状況
完成したゴックハイ市場のCMシステムを前に
工事関係者と記念写真
完成したCMシステム
バクニン省から依頼を受け、3社で高濃度デンプン質排水の処理能力テストを実施、他2社は処理できず断念する中、CMシステムは見事処理ができ信頼を勝ち得た
今後の展望について教えてください
ベトナムでの成功を足がかりに、タイやインドへの展開を視野に特許申請を行っています。インドでは既に商標登録も完了していて、他の国についても検討中です。現地企業と協力し可能な限り現地製造設置を行うことでコストを抑え共に成長できる良い関係を構築したいと考えています。
中小企業が単独で海外自治体と排水処理のような公共事業について渡り合うのは困難ですが、北九州市とハイフォン市の姉妹都市関係を踏まえ、アジア低炭素化センター(現アジアカーボンニュートラルセンター)にハイフォン市外務局との調整などを支援して頂けたことが大きな力となりました。今後もこうした公的支援を活用しながら、世界規模の課題である海洋・河川汚染の防止に挑戦し続けます。
株式会社ジェー・フィルズ
企業HP:https://www.jfils.jp/
本社所在地:〒803-0836 福岡県北九州市小倉北区中井5丁目12-30
高濃度有機排水処理 CMシステム/CMSシステム:https://www.jfils.jp/products/water/








